L-M BRIC News イラストL-M 組紐入門シリーズ基本編 II            05/10/2006 ©  2011 改訂
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L-M BRIC ニュース
 

イラストL-M 組紐入門シリーズ

ループ指操作法基本編 II 


2本の組紐を連結する方法

2人組で組紐の 内側耳を連結すれば2幅の組紐になる。内側耳を連結し、更に外側耳を連結す れば筒状組紐になる。

L-M組紐技法の基本的な組み方の一つに、2畝綾織組織平組紐が2本同時に組める組み 方がある。(図1a)これは 3ループならば三つ組、5ループ使えば五つ組など、 まとめて蛇腹組と呼ばれる組紐を2本同時に組む方法である。

L-M技法では1人で扱えるループ数には限りがあるから、複数の組み手が協力してもっと多ループ数の組紐を組むこ とが昔から行われてきた。

2-person connection
2人の組み手が横に並んで各自で「2畝綾織組織平組紐2本同時」を組みながら1段毎に隣接するループを交換すれ ば、左右の組紐が繋がり上下2枚の4畝綾織 組織平組紐が同時に組める。(図1 b, c)

2-3人で協力する組み方はイギリスの古記録に見え、また古資料では平紐に限らずスダリーのインサーションのレー ス組織 (ニュース第4 号)、フレデリックIII世の部屋着の不正規組織平組紐(ニュース第6号)、日本の中世組紐では手操作法の4段階手順(ニュース第7号)などに用いられ た 事が調査研究により解明されている。

UO#1組紐を3本横連結して作ったフレデリックIII世の部屋着のボタン掛け紐には連結部分にできる長い「浮 き 目」を防ぐためにループに捻りが入れてあるこ とをボウルトルプが精細な組織解析により解明した。(ニュース第6号図11)

しかし
正規組織組紐の連結法では、交換の前後でループの上下糸の位置が入れ替わらないようにする。 連結した組織が滑らかに繋がるた めに必須の条件である。

連結法が記録されているのは、第1法(組口A字型法)であるが、第2法(組口V字型法)でも同じ方式で連結でき る。第2法による連結法が実行されていたことは、2005年にインドネシアで採録され、確証 された。

本編では3種の連結法を解説する。

1.  10ループ2人組で組紐の内側耳を連結して2幅組紐にする手順

2. 10ループ2人組で,更に組紐の外側耳も連結して筒状組紐にする手順

3. 9
ループ2人組で組紐の内側耳を連結して2幅組紐にする手順



1. 内側耳の連結手順:10ループの場合(基本) (Fig. 2)
loop eachange
左側の組み手をLB、右側の組み手をRB、左右の手の指をそれぞれ人指し指から小指にかけて、La、Lb、Lc、Ld、Ra、Rb、Rc、Rdとし、指に 掛か るループをla、lb、lc、ld、ra、rb、rc、rdと表記する。
ループ交換は手順の繰り返し毎に行う
隣接する組み手LBのRaとRBのLaが空き指になっている時に、Laのrb、RBのlbを交換する。
2人の内側指が空き指にならないような手順の場合には、基本の要点に従い、ループの上下糸が交換の前後で変わらないように交換する。

STEP 1 組み手LBRarbの 左方から右に向けて上糸を押し上げるように挿入し、組み手RBのlaの 上糸を上から引っ掛けてとる。(RBのlaが 「開」移動LBのr1になる。)
STEP 2 RBLaLB のraの下をくぐってそ実査にはrbの上糸を上から引っ掛け てとる。(LBのrbが「開」移動でRBのlaになる。)

上図はトルマッシュの記録をそのまま図解したもので、一見手勝手が悪そうに見えるが、実際には
糸が手に従って動き右 図のように自然に交換できる。



2.  2重組紐と旗竿柄組紐の組み方
セレーン旗竿2重組紐(covert 又はcoverte braid、覆い隠す)とは1本の筒状組紐の中にもう1本の筒状組紐が組み込まれて蔽い隠されているものである。2色ループを使って内外の組紐をそれぞれ 異なる色で組み、時々その内外を入れ替えて段柄にしたものを、イギリスの例ではCOMPOUND(又 はcompon, componerなど、紋章学用語で色が半ばで変わる紋章柄)と呼んでいる。ここでは旗 竿柄と呼ぶことにする。
(写真上 撮影 J. Boutrup © 2005)
Chion'in braid
このデザイン構想はL- M組紐では自然な発想であるらしく、日本には知恩院伝教大師立像納入の組紐〔鎌 倉時代)に同構想の例が見られる. (ニュース第7号参照)(写真右 撮影 木下雅子 © )


イギリス15世紀の記録には、角組(4畝綾織組織筒状組紐)の二重組紐と旗竿柄組紐の組み方が1項目づつ記載されているのみであるが、2005年に発見さ れた17 世紀の印刷本セレーン本では、この構想がよほど編者の気に入ったらしく、角組以外に8 畝平綾組織と新構想の6畝平綾組織に2重組紐、旗竿柄 のデザインが多 数取り入れられている




2重組紐の組み方の原理

2人の組み手で内側耳を横連結して4畝綾織組織平組紐を2本同時に組み、更にその両外端のループを交換すれば外側耳が繋がって2重4畝筒状組紐(2重角 組)になる。組んで いる紐の上方でループを交換すれば、下側の平紐(図青色紐)が上の紐(図赤色紐)を包み込んだ2重紐になり(Fig. 3a)、下方で交換すれば、上の平紐(赤色紐)が下の紐(青色紐)を包み込む(Fig. 3b)。
connection at outer two ridges
2重組紐の内外の筒状組紐が完全に離れて、抜き出せるように組むには:

上下2本の平紐の外耳の要素がループを交換して繋ぐ時に交差しないようにする。
そのためにはループを交換の前後に下記のようにて上下糸を入れ替える。ループ交換が終わったら、ループを 再び捻ってもとの状態に戻してから次の操作に続く。

交換前の捻り方 交換後のの捻り方

上方交換の場合
左側の組み手の左手最外側ループ 時計回り 逆時計回り
右側の組み手の右手最外側ループ 逆時計回り 時計回り
下方交換の場合
左側の組み手の左手最外側ループ 逆時計回り 時計回り 
右側の組み手の右手最外側ループ 時計回り 逆時計回り

適当にループの色を選べば柄物も組める。

外側耳の連結手順

組んでいる紐の上方で連結する場合(Fig. 4a)
 how to connect outer ridges連結に使うのはLBのla(或いは左手最外側ループ)とRBのra(或いは右手最外側ルー プ)である。

STEP 1 
LBのlaを時計回りに、RBのraを反時計回りに捻りループの上下糸を入 れ替える。
STEP 2 組んでいる紐の上方でRBのraをLBのLaに移動。(RBのRaがLBのla-2になる。同時にLBのl1がRBのla-1になる。)
STEP 3 RBはRa をLBのla-2に通してLBla-1の上糸を上から引っ掛けてとる。(LBla-1がLBla-2の中を通ってRBRa に移動し、同時に時計回りに半転する。)
STEP 4 
LBは後に残った、LBra-2を反時計回りに半転する。
組んでいる紐の操作を再開する。

組んでいる紐の下方で連結する場合(Fig. 4b)
STEP 1 
LBのlaを反時計回りに、RBのraを時計回りに捻りループの上下糸を入 れ替える。
STEP 2 組んでいる紐の下方でRBのraをLBのLaに移動。(RBraがLBla-2になる。同時にLBlaがLBla-1になる。)
STEP 3 RBはra をLBla-2に通してLBla-1の下糸を下から掬い取る。(LBla-1がLBla-2の中を通ってRBRa に移動し、同時に反時計回りに半転する。)
STEP 4 
LBは後に残った、LBra-2を時計回りに半転する。
組んでいる紐の操作を再開する。


旗竿柄組紐の組み方

 
指操作法の平組紐を2本同時に組む手順で、P, Q2色ループを上糸は全てP色、下糸はQ色に並ぶように持って組めば、上層にP色、下層にQ色の2枚の平組紐ができる。適当な長さになるまで2本同時を組 んだら、全てのループを1本づつ捻って上下糸の色を交換してから同じ 組み方で組み続ける。上下の色が入れ替わった平組紐が2本同時に組め る。色の変わり 目の個所では2本の紐が繋がり2枚に分かれなくなる。
この紐を2人組で隣接耳を繋いで組めば2倍幅の平組紐2本同時にな る。
更に左右端の外耳も繋げば、片方の紐が中に包み込まれて2重筒状紐に なる。
適当な長さを組む毎にループを捻って上下糸を入れ替えれば旗竿柄にな る。

2重筒状紐手法は、2畝平組紐以外の平組紐2枚同時手順に適用できる。

1. 7ループ4畝綾/平混合組織2本同時
2. 10ループ2畝綾織組織平組紐(蛇腹組)2本同時 (5ループ2畝綾織組織平組紐(蛇腹組)の2人組)
3. 14ループ4畝綾/平混合組織2本同時 (7ループ4畝綾/平混合組織2本同時の2人組)
4. 12ループ6畝綾/平混合組織2本同時

5ループ4畝平織組織紐はトルマッシュ本に2本同時、2幅紐を組 む手順が記載されているもので(セレーン本からは欠落)、旗竿柄が適用されていないものが あるが、適用できない理由はない。

以上は全て指操作法2段階手順に基づく組み方であるが、2重組紐、旗竿柄組紐のアイデアは手操作法にも共通する。


3. 2人組で紐の内側耳で連結して2幅組紐を組む手順:9ループの場合


2人組を組む場合、1人組で組む時のループ数を各自が手に持って組むことは自然な発想であるが、連結された2 畝の一方の越数が1本増えて不 整ができる。
この不整はループ数を9本
つまり、ルー プ数 5 x 2 -1)にすることで正すことができる。指 操作法第1法、第2法に共に適用できる。

この連結法が、単に不整組織のない連結法以上の意味を持つのは、組み手数を増やして、平組紐を2本同時手順を用いれば、更に幅の広い2越、3 越の整組織綾織組織平組紐が組めるという事実である即ち、L-M技法でも、整組織綾織組織平組紐が組めると言う事実に繋が る

9ループを用いる場合の内側耳の連結手順(基本)< /small>
9-loop connection
(図5上 左側の組手が右側の組手のループの上糸をを上からら引っ掛けてとる。
下図 ループが左組手に移動。)


この方法では連結ループは交換ではなく一方から他方に移動する。5本のループを持つ組み手が手順1回組む毎に行う。
ループを移動する時には、ループを5本持つ組み手は、外側の手のa、b、内側の手のa、b、cに、もう一人の組み手は、外側の手のa、b、内側の手のb、 cにループが掛かっている。




ループを受け渡す時のループ配置(指操作第 2法の例)(右側組み手が5ループ持っている場合。左側組み手が5ループ持っている場合にはこれの左右を入れ替 えた配置になる。)

左組み手 右組み手
La Lb Lc
Rc Rb Ra
La Lb Lc
Rc Rb Ra






        

受け渡しの操作
(図 組み手のループを左組み手に移す場合。左→右の場合はこれの鏡像操作。)
左組み手がRaで右組み手のlaの上糸を上から引っ掛けてとる。(右組み手のlaが「開」で移動し、左組み手のraになる。)
ループの上下糸が移動の前後で変わらない