L-M BRIC NEWS No. 11 イ ラストL-M組紐技法入門シリーズ 日 本語版 第11号                             03-31-2008 © 2008
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イラスト L-M 組紐技法入門シリーズ 第11回

ループ指操作組紐技法

9本より多数のループを使う場合の一工夫


イングリッ ド・クリックモア

サンプル片

ループ数9, 10 11の見本:左端から1番目と4番目はループ数9,2番目は10、
それ以外は皆11。右端2本は同じ紐の表と裏
 

ループ指操作技法で使えるループ数の上限は一般に7本とい うことになっているが、イギリス15世紀の記録には8本の例もある。更に親指使えば9本で組むことができる。(もう2本ループを加えて11本まで増やす可能性もある。)その場合、親指はループを掛けたり差し 替えたりすることはできるが、操作指にはならないので、小指操作の技法つまり第2法を用いることになる。

ループを9本或は11本使えば構造としても色柄としてもずっと多様な可能性がある。

摘要
左手:L、右手:R、親指: thm、人さし指から小指にかけて順にa, b, c, dとする。従って例えば、左手中指はLbとなる。ループの2本の足は親指以外の指にかかっている時には普通の方法と同じく上下の関係にあるから、上糸・下 糸と呼ぶ。7本以上のルー
プを用いる私の方法では親指を突き立ててループを掛けるので、親指のループの足は水平に 並ぶ。身体の中心に近い方の足を内側足、遠い方を外側足とする。後出の私のループ掛け替え法に従えば、上糸が内側糸、下糸は外側糸になる。
 
其の他の用語についてはイラスト・ ループ指操作組紐技法入門シリーズ基礎事項・用語・図解解説・組み方基礎参照

ループ初期配置

写真1ループ数9の場合は左手の5本の 指(Lthm, La, Lb, Lc, Ld)、右手は小指以外の4本指(Rthm, Ra, Rb, Rc)にループを1本ずつかける。
(写真1)

胸の前で両手 を向き合わせ、親指を垂直に立てて構える。
 



写真2
綾を取る(開口):
(写真2)
(下図、及び写真はループが左手から右手に移動する場合の例)

2 法では、例えば、Rd を操作指とする場合は、Ld, c, b 指に掛かっているループ(移動ループ以外)の綾を取って開口する。正規組織 組紐では全てのループの中を通って綾を取る。不正規組織組紐の場合は、各ループについて上糸を拾 う、下糸を拾う、飛び越す、(下を潜る)等の取り方があり、その組み合わせで種々の開口ができる。

写真3しゃしん4

RdでLthmのループを以下の移動ループの取り方に従って取り、綾の中を通って抜き出す。親指のループを適宜にはずす。




移動ループの取り方 :

移動ループの取り方には「開」と 「閉」 のぞれぞれに2通りの取り方、合計 イ、ロ、ハ、ニの4種類がある。「閉」移動ハとニではループが互いに逆向きに捻られる

「開」移動:

イ.Rdで移動ループLthmの 内側糸を下から掬うように取る。(内側糸が上糸になる)註1
(図 「開」操作イ)

ロ.RdをLthmの下から通 し、外側糸を上から引っ掛けて取る。(外側糸が下糸になる)(註2
 (図 「開」操作ロ)

「閉」移動: 

. RdでLthmの内側糸を 上から引っ掛けて取る(ループは時計回りに回転、内側(上)糸が下糸になる。)註3
(図 「閉」操作ハ)(写真1)

ニ.Rdをループの下からから廻 してlthmの外糸を下外側から掬うように取る。(反時計回りに回転、外側(下)糸が上糸になる。)4)(図 「閉」操作ニ)

thumb-to-pinkyj
 

ループの差し替え:

写真6写真7写真8





ループを人さし指aから親指 thmに差し替えるには、thmをaループにaの指先の方から差し込み上糸を掬うように引っ掛けてaから抜き取る。(写真 6, 7, 8)a の上糸が移動後にはthmの内側糸 に、下糸は外側糸になる。

aからthmへのループの差し替えが行いやす いような方法をとったので、a指で上下関係にあったループの足が、内向きに90度廻ってthm指では水平に並ぶ。そのために移動ループtmの取り方も図示 のように常の 取り方とは異なるものになる。写真9写真10

人さし指以下の指では次の操作指d が空き指になるまで常と同じ様にして差し替える。(写真9, 10)

慣れてくる と、親指の差し替えと両腕を広げる緊迫作業がほぼ同時に行える ようになる。

 

組織の緊迫(打つ):

写真11指にかけたループを しっかりと抑えるように両手を握って腕を広げ、 組糸を引っ張る。(写真11)または片足で、組糸束の叉を押すなど。長い紐を組むための補助具(打ち器)などについては、技法入門、クテ打基礎事項解説などを参照。定常な力でしっかりと締める ことで、組目が揃った紐が組める。慣れてくるとループ差し替えと組織緊迫はほぼ同時に行えるようになる。写真12

出 来上がり (写真12)

手 順の後半: 後半の操作は 前半の左右を変えた(鏡像)操作を行う。

ループの取り方 (「開」・「閉」)を左右で変える組み方もある。この組み方の場合は、ループの取り方を同じ側では同じにす る。

 

一つの綾の取り方に対して、「開」・「閉」操作のそれぞれに対す る全部で4 通りの取り方(図イロハニ)ができる。不正規組織組紐では、でき上がった紐の形状に変化を見る場合がある。(註3)
(本誌稿参照 不正規組織組紐の組成法に起因する特異性について)

綾の取り方 種々

ループ数が9本になると、不正規 組織組紐では、ループを飛び越す、上糸を取る、下糸を取る、逆取りをする、下を潜るなど多様な綾の取り方ができる。
 

不正規組織組紐の2例

1.        通す(d, c) 越す(b, a) 「閉」

2.        越す(d, c) 通す(b, a) 「閉」

ループ数10, 11の場合

写真13写真14写真15





ループ数10(または11)でも 慣れれば7本、9本の場合と同じ様にたやすく組める。

写真16ループ配置(写真上左)ループ数10 の場合 Rd以外の指に1本ずつ、残りの1本はすでに掛かっているループLd を指の中ほどに移し(Ld中)、その指先に掛ける(Ld先)。これはループの順序を間違えないため。(写真上中)
11本の場合は最後の1本を空指 Rd(操作指)の根元にかける。(
移動ループを取る指先を避けるためであ る)


組み方:

操作1:操作指 Rdで Ld. c. b について綾を取り、Lhtmループを取る(「開」又は「閉」)。

ループ差し替え: 左手のループ5本を差し替え る。 左手小指に掛かる2本(Ld中, Ld先)の差し替えには、先ずLd先をRaに仮持ちさせ、Ld中を差し替えた後に、空いたLdの中ほどに返す。(写真上右、写真下)

打つ:

後半を 組む:

 

インゲからのループ技法の一般 的な心がけ

ループ数の少ないやさしいものから始め、次第に複雑なものに、更にループ 数 の多いものに移行する。

各段階で殆ど自動的に組めるようになるまで練習する。

特に親指も使う方法では、 9本で充分に練習して、親指を使っていることが全然気にならないほどなれてから10-11本に移った方がよい。

ループが指から外れて掛け直す時に、ループの向きが変わらないように気を つける。

間違いに気がついたら組みほどいてやり直すのは面倒だが、良い勉強になるから奨励したい。

組んでいる途中で止めた時に、後ですぐに取り上げて仕事を続けられるよう にするための小道具として、物差と洗濯挟み(ループ数)を用意しておく。 ループに物差を通して、1本ずつ洗濯挟みで止める。再び取り上げる時にどちらが上向きであったかが判るように 目印を付けておくことを忘れぬよう。(編集子は、3x4~6 cm 1x3 inches の厚紙片の片面に目印を付け、幅広(4-7 cm, 1.5-2.5 inches)の金属製クランプ(ブルドッグクランプ)を使う。)

ループ数を増やすことで、組める組紐の種類と色の選択肢が増える。いろい ろとためして見て下さい。

                                                                          

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